ほどほどでいいという選択肢。
自己啓発本などには様々な意欲を掻き立てることが書いてあるだろう。それを見てすぐに行動に移す人もいれば、現状に不満を抱きつつもそのまま現状維持を続ける人もいる。同じ人間なのに、一体どこでこの差は出てくるのだろうか。
サラリーマンの飲み会にみた志のあれこれ
以前ごくわずかな期間、サラリーマンをやっていた事がある。
お酒を飲まないのでそもそも飲み会が嫌いなのだが、サラリーマンに飲み会は付きもの。さすがに『飲み会って残業代出ますか?』とは言わないが、そう言いたくなる気持ちもわからないでもない。
やはり同性である男性の話を聞くことが多かったので、それらの話の内容を思い出してみると
・異動になった上司(同僚)の悪口
・爪の垢ほどの事を大統領になったくらいに大声で話す
・現在の上司の悪口
・会社の給料への不満
・会社の待遇への不満
・会社の自分への評価の低さの不満
・浮気や不倫の話
これらが非常に多かった気がする。
20代の頃からこんな話を聞く度に『そんなに嫌なら辞めればいいのに』とずっと思っていたし、周りにも言っていた。
しかし、こうして自分に当たる冷たい向かい風を(上司の悪口を言いあうことによって)皆で慰めあうことが大切なのだという。
冷たい風の発生源を塞ごうとは思わないのだそうだ。
自分の評価が低いと怒っている人もいた。
『俺がいなきゃ会社は回らないのに、、、。』と言っている。
会社を辞めて自分で商売をして、『あの人の事もっと大事にして、ウチに居てもらえばよかったなぁ、、、。』って会社に思われるようにやってみる気はないらしい。
会社内で評価される事だけが重要だそうだ。
このような中にいても時々、本当に辞めてしまい自分自身で独立したり転職をする人も出てくる。一体何が違う?
生物にとって、志は高くなくてもいいという事
セロトニンの量によって不安を感じやすかったり、感じにくい人の違いがあるそうなのだ。以下を見ていただきたい。
多くの人が誤解しているようなのですが、志を高く持たなければならない合理的な理由は存在しません。
人間も生物であり、生物にとって最も重要なのは生き延びることです。
「失敗を避ける」という堅実な選択は、生き延びるために万全を期すという観点からは決して間違いではないのです。
お馴染みのセロトニンという脳内物質は感情や気分を安定させる働きをしますが、これはセロトニントランスポーターというタンパク質に取り込まれ、再び分泌されます。セロトニントランスポーターの数は人によって違い、少ないタイプの人は不安を感じやすいことがわかっていて、日本人にはこのタイプが多いのです。
それは日本に自然災害が多いということが関係しているのかもしれません。日本は世界の総陸地面積の1%以下の大きさしかないのに、災害は実に全世界の約20%が一国に集中して起こるという災害大国です。 セロトニントランスポーターの少ないタイプの人は不安をいち早く感じることで、災害の危険が迫った時にそれを回避したり、準備を整えたりしておくことで命を落とさずにすむ可能性が高くなったのだろうと推測されます。
「ほどほどの人生でもいい」日本人に“志”の低い人が多い理由――中野信子の人生相談
文春オンライン
脳内物質の量によって感じる不安に差が出る
セロトニントランスポーターの量が少ない人は不安を感じやすいのだそうだ。
そして日本人はこのタイプの人が多いみたい。
転職してうまく行かない可能性を考えると、このまま続ける方がいいかもという考えになるのかもしれない。
しかしこれらは悪い事ではなく、生物の本質から見れば間違っていない事なのだそうだ。
勿論これだけではないだろうが、こうした部分にも志の高い人と低い人の差が現れる。
結局死んでしまったらそれまでだからね。
生き延びることは何より一番大切なのである。自分自身、ずっと不思議に思っていたのでとても納得した話だった。