回すと991以降のGT3の音がする。
年齢相応に段々わかってきたことがある。
以前も書いたが、10年前はBMWのM系やベントレーやロールスロイスの魅力は1mmもわからなかった。好みの問題もあるが、速い車が欲しければ同じ値段でクーペのスーパーカーがあるのに、敢えてこんな普通の車にしか見えないものに高額なお金を払うのは勿体ないと思ったのだ。
しかし今ではだいぶ魅力がわかるぞ!
多様性は勿論だが、エンジンパワーは速さを競うだけではない、快適かつ安楽に走るための大パワーというものがあることも。
バイクのロールスロイスっぽい
サスペンションを走行状況に合わせて切り替えることができる。
クルーズモードにすればフワっフワっな乗り心地で快適。シートヒーターもグリップヒーターも5段階で個別に温度調整可能。
ウィンドシールドは電動で高さ調整可能。
クルーズモード&シートヒーターとグリップヒーター、そしてウィンドシールドを顔に少し風が当たる程度に合わせるとまるで走る露天風呂である。
シフトアシストプロが付いているので、発進停止時以外はクラッチ操作不要。後はギアチェンジペダルの操作のみ。変速ショックなしでDCTのように瞬間的にシフトアップ&ダウンができる。しかもダウン時は自動ブリッピング。
排気量は1650ccで馬力も160馬力もあるので遅いなんてことは全くなし。
このバイクならどんなに遠くに行くのも苦にならなそうだ。(雨の日、風の日、嫌いな相手に会いに行く日は除く)
BMW K1600B
全長×全幅×全高 2470×1000×1300㎜
ホイールベース 1618㎜
シート高 780㎜
車両重量 336kg
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列6気筒
総排気量 1649㏄
ボア×ストローク 72×67.5㎜
圧縮比 12.2
最高出力 160PS/7750rpm
最大トルク 17.8㎏-m/5250rpm
燃料タンク容量 26.5ℓ
キャスター角/トレール 62.2度/106.4㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ320㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/55ZR17
356万2000円
ガソリンタンク26.5lって車並だな。
今どきの車よりも大きい1650ccの6気筒エンジンを搭載したクルーザー。
クルマの馬力に合わせればおよそ3倍の480PS、トルク53.4kgmほどに相当する。
正面から見るとフクロウに似ている。
ぱっちりおめめがカワイイ。
ウィンドシールドの高さ最大↑
角みたいなマークのボタンを上下に押すことで高さを変更可能。
ウィンドシールドの高さ一番低い状態↑
あまり変わっていないように見えるが、運転席から見ると結構違う。
足元前部分には足を投げ出す用のペダルがある。
その下にはエンジンガードも。あの小さいエンジンガードで転倒時の車体ダメージをどこまで防げるかは謎。
グラマラスなお尻。
サイドバッグはテールランプ一体型のため取り外し不可。
横開きなのが使いづらそうで気に入らんが。
これから曲がる道を曲がる前に、照らしてくれる賢いライト。4輪みたいだね。
LEDは一周ついているのだが、カメラで撮るとこのように途切れて見える。
ポジションとロービームはキセノンなのにハイビームはハロゲンという謎仕様。
厚みたっぷりのシートにはK1600Bの刺繍入り。
市街地走行
エンジンをかけて車体を起こす。
他社も含めたクルーザーの中では比較的軽量というが、車両重量約350kgは完璧に重い。アイドリング時はヒュルヒュル音がする。これもエンジン音なのかもしれないが、あまり心地よくないサウンド。それとは別に排気音があり、そっちの音はいいのにヒュルヒュル音の方が大きくて残念。
街中に出て走り出すとビックリ。
動き出すと軽々!なんてどのバイクでも常套句としていうが、このバイクはホントに軽い。
スラロームとかも問題なくできそう。
てことは350kgの巨体だが、曲がりくねったワインディングロードも楽しめるのかも。
車体の大きさと重さ故、発進停止時は多少気を使うが動いてしまえばなんてことない。
低回転から力がありシフトショックも皆無。
シフトアシストプロと名前は全部同じだが、相性なのか違うものなのか、車種によって変速時のショックは全然違うので購入前には乗ったほうが良い。
以前乗ったR1200RSはシフトショックがデカすぎて不快、手動でギアを変えていた。
また特筆すべきは乗り心地の良さ。
クルーズモードで走行したのが、かなり荒れた路面を通ったとしてもショックは今まで乗ったどのバイクよりも少ない。普段使いの車であるアウディA3よりもソフトな乗り心地だ。
これほどの乗り心地の良さがあれば、SS系のように段差ごとにお尻をあげるような必要もない。
加速チェック
ダイナミックモードに変更し、開けた道で強烈な加速を堪能してみた。
今は電子制御が効いた車がほとんどなので今更驚くほどでもないが、走行モードを変えると明らかにアクセルレスポンスが変わる。
NA1650cc6気筒エンジンの最高回転数は8500回転。
高回転まで回すと結構な音量で周りに響き渡り、自分はまるでポルシェの991以降のGT3にでも乗ったかのような錯覚を受ける。
聞こえてくるエンジン音がそっくりだ。
そしてスピードメーターなど見てる暇がないほどの加速力。
0-100km加速は3秒台前半。
しかし、車体は安定していてウィンドシールドが風を遮ってくれることもあり、スピード感は実測よりもかなり低く感じる。この辺もポルシェっぽい。
気づいたらとんでもないスピードが出てた!系のバイクである。
注意が必要だ。
それにしても高回転のエグゾーストノートは最高だ。ぜひマフラーを変えて楽しみたいと思うくらいの良音。
総評
回したらGT3化するのに回さなければショック無しの超快適ツアラーだ。
ホントにどこまででも走っていけそうだし、目的地は考えられる最大の遠くを設定したい気持ちなる。
見た目がカワイイのも個人的には大好きだし、この鈍重なツアラーな顔してこれだけの走りと快適性とサウンドの懐の深さ。
マジで最高だ。
BMWの中では、、、ではなく4輪も含めた全車両の中でトップクラスの快適性を誇るクルーザーだと思う。
バイクとしてみれば高い356万円も、K1600GTには十二分にその価値はあると言える。
K1600Bサウンド
Mike On The Bike BMW K1600B Bagger 0-100 0-200 km/h