1,000km走れるSS。
二輪も四輪も大好きだ。バイクはスズキにハーレー2台、ドゥカティ、BMWと乗り継いできた。二輪も四輪と同じく、はっきりとお国柄がバイクに出る。
ハーレーは高速道路を法定速度で走るのが楽しく、どちらかというと走りよりもライフスタイルそのもの。服装もバイカースタイルでバーガーショップに乗り付けたり、音や見た目での注目度も含めて楽しむ感じ。
それに対してBMWはオールラウンドで速く高性能。そしてイタリアのドゥカティは壊れる、と割とそんな感じだ。
俺は2011年に発売されたドゥカティのモンスター1100EVOに乗っていた。
ドゥカティは壊れると聞いていたので、中古車は買わず新車でモンスター1100EVOを購入した。
ゴールデンウィークに間に合うよう4月の中旬頃に納車になったが、ゴールデンウィークの前にエンジンのトラブルにより故障。
修理にとんでもなく時間がかかるため購入店から全額返金された過去がある。
信頼性に難があるので新車購入が望ましい、と新車購入した10日後にエンジントラブルで手放すことになるとは、何ともイタリア車らしいエピソードである。
しかし、あれから10年近い歳月が経ち、イタリア製スポーツカーも性能に信頼性が出てきたようだ。なにせ今ではドゥカティも親会社はアウディ。これは安心できる要素だ。
主要諸元
全長×全幅×全高 2070×750×1186㎜
ホイールベース 1478㎜
シート高 810㎜
車両重量 210㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブL型2気筒
総排気量 937㏄
ボア×ストローク 94×67.5㎜
圧縮比 12.6±0.5
最高出力 110HP/9000rpm
最大トルク 9.5㎏-m/6500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 16L
キャスター角/トレール 24度/91㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ245㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・180/55ZR17
価格183万9000円
スペック的にはそこまで凄まじいというわけではない。
車の感覚から見れば110馬力なんてコンパクトカーかよ、と思うかもしれない。
だがしかし、である。
車重を見てほしい。
210kgだ。
自動車なんかの1000kg換算すれば約5倍の550馬力に相当する。だから、バイクは速いのだ。
550馬力相当の車が新車価格183万9000円から購入できるのだ。
パワーに対してのコスパは四輪車の比ではない。
全体的なシルエットはカッコいい!でもこのおめめ。眉毛がつながっているようで、あまりかっこよく見えない。
タコメーターは左から右へ動くバータイプ。この手のタイプのバイクでは珍しい燃料系も装備される。
セパハンだがハンドル位置は高く、手前なので少し前傾気味のネイキッドモデルのようでとても楽だ。
オートシフターが装着され、アップもダウンもクラッチ操作なしでシフトチェンジが可能。完成度は高い。DCTのようにスコンスコン入るギアは気持ちいい。
こうして斜め後ろから見た姿はとてもカッコいい。
街乗り
さてエンジンをかけてみよう。
排気音は二気筒らしく鼓動感を伴う。街乗りに最適なアーバンモードで出発。
街中の幹線道路を走るが、まぁ快適なこと。
SS系バイクはまたがって道路に出ると即『ハンドル低ッ!!ってか遠ッ!!』ってなることが多い中、なんとびっくり快適なのだ。
そしてパワーも相当抑えられ、かなりラフに回しても仰け反るように加速するようなことはない。体感的に50馬力前後しかないんじゃないかという感じのパワー感だ。
シートも硬すぎないので特に違和感なし。
今までのドゥカティのようにクラッチも神経質なところがないし、ギアもどんどん上げていける。低回転での粘りもある。
乾いたビート感のあるサウンドは紛れもなくドゥカティなのだが、あまりに優等生過ぎて拍子抜けする。
加速チェック
さて街乗りの使いやすさは教習所のバイクレベルの良さなので、今度はスポーツモードに入れてスポーツバイクとしての底力を体験してみる。
特に排気音が大きくなったり等の演出はないが(元から結構大きい)、メーター内にスポーツと表示されるとやる気が出る。
安全な道で1速からアクセルを大きく開けて、クイックシフターで引っ張り気味で回してみた。
さっきのまろやかな感じとは全然違う!!地面に低く身を伏せて疾走するチーターのように、安定感を伴って矢のように加速する。
充分速いが110馬力なのでまだ回しきることができるパワー。
しかし、相当な勢いで加速するので心の準備は必要かもしれない。
国内で普通にツーリングやワインディングで走っている限りは、まず不足ないレベルの動力性能。
総評
本当に万能マシンだ。アーバンモードではごっそりと出力が抑えられるので、他のバイクにあるウェットモードに置き換えて考えていてもいいと思う。
このモードが必要な時はまさに混んだ街中や雨の日。そして、同乗者に気を遣う二人乗りの時だ。
後ろに乗り慣れている人ならまだしも、通常ほとんどすることがないバイクの二人乗りは怖い。
そんな中、優しく加減速して少しでも恐怖心を取り除いてあげられればジェントルマンである。
そしてワインディングやサーキット、高速道路はもうスポーツモード一択。
まさに水を得た魚で、まさにドゥカティ。スポーツバイクの面白さを骨の髄まで味わうことができる。
そんな中庸を行くのがツーリングモードだ。
走行モードの設定でこんなに優しくも激しくもなる。
ただし、スポーツモードに入れたところでこのバイクの『優しさ』は変わらない。
レスポンスよく動くようになっても使いづらさは皆無。
そのままスポーツモードで街乗りだって全然いけるのだ。
2011年からの進化でここまで来ているとは驚きである。
このバイクは見た目が好きなら100%自信を持っておススメできる。