Mだけどラグジュアリー。
BMWらしくないカッコよさで定評のある8シリーズ。その8シリーズ最強のM8コンペティションである。Mではない850iでも十分なパワーを持っていたので、M8でどれほどのものかと思って楽しみにしていたが、ある意味想像通り、街乗りレベルでは標準モデルとほとんど差は無かった。
見た目や乗り味はとても良い
この8シリーズは見た目はかっこよく個人的にとても好きだ。
あくまで個人の感想だが、BMWのデザインってどこかちょっと不格好な車のイメージがある。だから、スーパーマキバオーのビッグ鼻の穴、新型4シリーズを見ても
『まぁ、BMWらしいよね。』
と思うだけでそれ以上もそれ以下もない。
ただ、この8シリーズのデザインはロー&ロングでとても魅力的に見える。
アストンマーチンなどを差し置いて一番かっこいい形ではないにしろ、上位に入るデザインだ。そして乗り心地もよい。
スペックを見てみよう。
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4870×1905×1360mm
ホイールベース:2825mm
車重:1910kg
駆動方式:4WD
エンジン:4.4リッターV8 DOHC 32バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:625PS(460kW)/6000rpm
最大トルク:750N・m(76.5kgf・m)/1800-5860rpm
タイヤ:(前)275/35ZR20 102Y/(後)285/35ZR20 104Y
価格:2444万円
5m近いボディサイズに190cmの横幅。
狭い道に入り込んでしまった時はかなり嫌な汗をかくサイズだ。
しかし、堂々としたサイズであるからこそカッコいいのだが。
この大柄なボディに625馬力のエンジンを積む。
BMWっぽいテール。
マフラーは4本だし。
ホワイトレザーの座り心地の良いシート。
市街地走行
エンジンをかけると、Mモデルの例に漏れず元気な始動音が鳴り響く。
ここは最高に好きなところだが、ファストアイドルが終わると車内は静か。
静粛性も高いのだろう、静かというかエンジン音はほとんど聞こえず。
街中に繰り出して法定速度で走っている限り、自分が今乗っているのは850iなのかM8なのかは判断できないほどの差である。また、それほどまでにM8は乗り心地が良いという事でもある。
ゴンゴン突き上げるわけでもないし、エンジン音も静かで、運転もしやすい。
街中を普通に走っている限りはラグジュアリークーペそのものである。
加速チェック
高速道路に乗って長い直線で少しだけ踏み込んでみた。
走行モードはスポーツプラスモード+マニュアルモードだ。
M5コンペティションと全く同じ感じだ。
エンジンが同じなのだろう。
加速時のフィーリングも同じで、静かにドッシリとした安定感を持って、獰猛に加速していく。
加速が獰猛と表現したのはスピードメーターを見たからであって、加速中などはあまりの安定感の高さにほとんどスピード感はない。
この感じは911のカレラ4Sなどに似ている。
そして窓を開けているにもかかわらず、加速時のエンジン音はあまり聞こえず。
625馬力の大パワーをアクセル全開など全くできないが、わずかに半分ほど踏み込んだだけでも、すさまじい出力の片鱗を感じることが出来る。
総評
正直なところ、あまり印象が残っていない。
少なくとも、街乗り&高速走行で走りが最高に楽しいという訳ではない。
エンジン音が素晴らしいという訳でもない。
乗り心地は良い。快適だ。
だから、飛ばさずラグジュアリー車らしくのんびり流している方が似合うのではないかと思ってしまった。
でも、それならばM8である必要はない。
このエンジンパワーを発揮できるのは一般道ではない。サーキットのみだ。
サーキットで走るならM8は楽しいと思うけれど、きっとサーキットをガンガン走り込むような人はM8のフカフカのレザーシートも、乗り心地の良いサスペンションも、大量の遮音材もいらないのだろう。