新しいものは常に批判の対象になる。
フランクフルトモーターショーで発表されたBMWのコンセプト4。
デカイなんてもんじゃない巨大キドニーグリルが話題の中心だ。現行モデルのX5は巨大化したキドニーグリルについて、イギリスの自動車評論家のジェレミークラークソン曰く
『10km先からでも俺はBMWだと主張することが出来る』と言っていたが、この車は何km先から認識できるのだろうか。
新しいデザインや 新しいもの、事は常に使い慣れた過去のものと比べて批判の対象になってきた。今回も周りの意見を見聞きしている限り、圧倒的に賛否の『否』が多い。
俺も最初は見た直後に吹き出してしまったが、しかし遠くからでもBMWということがわかる、ということを重要視した場合は、これはある意味一つの最適解だと思う。
もちろん、このようにレクサスのようなドヤ顔が嫌いで、おしとやかに乗りたい人には受け入れられないだろう。
しかし、近年の7シリーズや5シリーズや1シリーズのグリルの大型化を見ていれば想像できた変化ともとれる。
AUTOCAR JAPANにデザイナーのインタビューが掲載されていたのでここに引用する。
何より目を引く、BMWコンセプト4シリーズ・クーペの大型キドニーグリル。どうしてそうなったのか、デザイナーのステファン・ヴェアンスに尋ねてみた。
コンセプト4シリーズ・クーペは、かんたんに、どんなクルマですか?
「ダイナミックかつエレガントなデザインを目指しました」
「シンプルでありながら、力強く、独自性がある。ディテールには最新の注意を払いました。グリルやライトなどですね」
――どうしてこんなに大きなグリルにしたのですか?「これがキドニーグリルのあたらしいデザインです」
「次期型4シリーズのダイナミックなプロポーションにも合うと思います」
「1930年代の328からもインスピレーションを得ています」
――大きくなったグリルに対して、かなりの意見が飛び交うと思いますが……。
「これはあたらしいクルマです。そしてキドニーグリルも新しいデザイン言語です。慣れるまでに時間がかかることは、わかっています」
「キドニーグリルはBMWのアイコンでもあります。今まではどのモデルにも、ほとんど同じデザイン比率でキドニーグリルを採用してきました。これからはモデルによって、キドニーグリルのサイズを変えていくつもりです」
AUTOCAR JAPAN
デザイナー自身もこのデザインが受け入れられるまでに時間がかかることは承知している。今後は車によってキドニーグリルのサイズも変えていくようだ。
以下にそのコンセプト4の写真を並べてみる。
大きなキドニーグリルはダイナミックなプロポーションにも合う、とインタビューにあったが、俺にはプロポーション自体は普通でグリルだけがダイナミックに見える。
思い返してみればラフェーリが登場した時も、目がとがっていて、なんかあまりカッコよくないなと思った。
けれど、今では最高にカッコよく見える。目が慣れたのか、もしくはデザインの良さにようやく気づけたのか。
このコンセプト4が街中を走れば少なくともはじめは目立つだろう。しかし、それも時間の経過とともに当たり前の景色になっていくのかもしれない。
本文中の画像はCar Watchより。