圧倒的な完成度。
大きな鼻の穴が気になりすぎて他が目に入らなった新型M4。
写真で見るとコントだが現車を見たら一変、普通にかっこいい。
そして見た目だけでなく、性能も楽しさも目を見張るものがあった素晴らしい正常進化のM。
写真で良さは伝わらない
自動車だけでなく人だって見た目は重要だ。
写真で見た限り、全くカッコいいと思わなかったM4。しかし現車を見てビックリ!
スーパービッグ鼻の穴も何も違和感がない、、、。
これには理由がある。
各社の記者はまず、何せこのグリルがインパクトが大きすぎるのでここを強調した写真を撮り、それを様々な媒体に載せがち。でも実際、車の車高的にこのグリル部分はひざ下ぐらいの高さだ。
つまり車を正面から見て、そう視界に大きく飛び込んでくるところではない。
目を下に向ければまぁ確かにね、というレベルだ。
自分の車のヘッドライトよりも下の部分のデザインを、現車に忠実に思い出して描けるだろうか?
あれ、ここどんな形してたっけ?と思い出せない人が多いに違いない。
その位の位置にあるので、あれだけ大きくても実は違和感がない。
そしてもう1つの理由はM4はグリルが黒い事だ。
黒くなっているので余計に目立たない。
以下に巨大鼻の比較画像を置くから見て欲しい。
この写真を撮る時は膝が床に付く位しゃがんでいる。
なんか魚っぽい。
フロントグリルの他に気になる事があるとすれば、バンパーが各種センサーだらけな事と、ボンネットの左側がキチンと閉まってない事くらい。
次は通常の新型4シリーズを見てみよう。
4シリーズスタンダードモデル。(BMW.co.jp)
グリルの縁がメッキになり、グリルの中もきらびやかになっている。
こうなると鼻の穴は最高潮に強調される。
初めて彼女と過ごす夜の男性の鼻と同じだ。
そしてモデルの足を見てもらえばわかるように、グリルの高さはひざ下位だ。
M4はひざ下の高さで黒いので、実際に見るとそんなに気にならない。
そして今回のM4コンペティションのスペックは以下の通り。
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4805×1885×1395mm
ホイールベース:2855mm
車重:1730kg
駆動方式:FR
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:510PS(375kW)/6250rpm
最大トルク:650N・m(66.3kgf・m)/2750-5500rpm
タイヤ:(前)275/35ZR19 100Y/(後)285/30ZR20 99Y(ミシュラン・パイロットスポーツ4 S)
燃費:10.1km/リッター(WLTCモード)
価格:1348万円
馬力は510PSもあり、そしてボディサイズが大きくなった。
このボディサイズが大きくなったことは傍目にも明らかで、パッと見て『大きいな、、、』と思った。
しかしネガティヴな感情ではなく、より高級車然とした雰囲気が強化され個人的には大好きだ。
前のモデルのM4は垢抜けないデザインだった。
今回は色々思い切ったが、とても良くまとまっている。サイドから見るデザインは従来より長く低く、優雅に見える。
そしてオプションもほとんど全部入り。
ポルシェの試算等をするとよくわかるが、レザーシートも各種スピーカーもオートクルーズも走行モード変更(ポルシェで言うスポーツクロノに該当)も、スポーツマフラーのバルブのオンオフも全て標準で付いた510PSの直6ツインターボ車が1350万円なので、驚くほど安い。ホイールだって鍛造だ。
写真ではわかりづらいが、ボンネットも空力をイメージしたようなデザインになっており、イカつい雰囲気マシマシ。
フェンダー周辺の一部は、カーボンからピアノブラック塗装のモノへコストダウンされている。
横からのシルエット。
低く長くなってきれいな形になった。すごく好き。
テールライトもスリムに。
前作よりも好き。
インテリアもアップデートされた。
スイッチ類の隙間も小さくなったし、従来の安っぽい印象がなくなり、高級車らしい整然としたインテリアに変わった。
スカッフプレートはM4コンペティション。
ポルシェのスポーツエグゾーストようにマフラーのバルブの開閉が出来る。
この辺の素材は指紋が気になるタイプ。
コックピット周辺。左右の赤いM1とM2にあらかじめ好きな走行モードをセットしておける。
ハンドルのスイッチの隙間も小さく、BMWも洗練度が高まってきた。
セットアップ画面。
自分の任意で好きなセッティングに変更し保存することが出来る。
エンジンは右に行くほどマフラーの音量が大きくなる。
純正の鍛造ホイール。デザイン好き。
控えめなモデルバッジ。
市街地走行
エンジンをかけて街へ出る。
プッシュスタート式の赤いボタンを押すと、Mモデルに乗っている事を強く意識する元気な音が周囲に響き渡る。
BMWはこの辺の車好きの心をくすぐる演出が上手い。
エンジンをかけた瞬間に『これこれ』とニヤけてしまう。
市街地走行時は一番大人しいモードで出る。
セッティングは全て左側のコンフォート、マフラーのバルブも閉じた状態だ。
何も問題が無い。
快適。
そりゃ少しはコツコツとする。しかし、スポーツモデルでなくても道路の継ぎ目や段差でこのくらいコツコツと伝えてくる車なんて、いくらでもあるぞという一般的なレベル。
足が硬すぎてたまらん、、、とかそんな心配はコンフォートモードで走っている限りは全くない。
これでスポーツやスポーツプラスモードにすればサーキットで楽しめるポテンシャルを楽しめるんだから、すごい車だよなぁ、、、としみじみ。
Mモデルに乗っている事を忘れる静けさで街中を走る。
この後は高速走行を試すので高速道路へグルグルと上がっていく。
高速走行
高速道路に来た。
マフラーのバルブも閉じたコンフォートモードのまま走るが、もう快適そのもの。
Mスポーツの標準モデルとほとんど変わらない乗り味だと思う。
前車を追い越すときは右足に少し力を込めればグングン車速は増すので、全くストレスが無い。
しかし、M4コンペティションに期待しているのは高速道路をゆっくり快適に流す快適性能ではない。
セッティング変更し、エンジンはスポーツプラス、残るシャシー、ステアリング、ブレーキも全てスポーツに変更。そしてスポーツマフラーのボタンもオン!
万全の本気モードのセッティングだ。
ハンドルはハッキリと重くなり、100km/hの巡行であれば片手の指1本でハンドルに触れてるだけで十分なくらい、矢のような直進を見せる。
加速チェック
速度を落として3速辺りからマニュアルモードで加速チェックをする。
6000回転を少し超えるくらいまで回るが、フィーリングとしてはNAっぽい加速感。
どこかで急激にパワーが増すのではなく、高回転に向かいながら自然にスピードが伸びていく。
文章では淡々と書いているが、これらは数秒内での出来事だ。
助手席に座る人がいれば自然に声を出させてしまうほどの強烈なGがかかる。
そしてその際のエンジン音がまた素晴らしい。
エンジンが回ってる感も物凄い。
車内にも盛大にエンジン音が轟き、自分は今BMWのMモデルに乗っている事を強く感じる。
シフトダウンの反応も良く、その際のブリッピングも盛大。
もう、全開でスポーツカーの楽しさを伝えてくる車だ。
強烈な加速、気持ちよい加速サウンド、盛大なブリッピングサウンド、気難しさゼロな運転のしやすさ。
ハンドルを握っている間はずーっと笑顔でいられる!
ドライバーだけは。
ちなみに試乗車はATだが、なんとトルコンATだそう。
全体的に今は超速のトルコンが全盛の時代だが、例に漏れずそこら辺のDCTよりもよっぽど変速の速いトルコンATだ。
自分はDCTの変速フィーリングが大好きだが、トルコンATでここまで変速が速いのであればDCTは要らないかも、、、とさえ思った。
次のギアへスパンと切り替わる感じもDCTと遜色ない。技術の進化すごい。
ブレーキも気難しい感じがなく、踏んだ分だけ効くタイプ。
アウディの一部モデルにある、軽く踏んでも急停止してしまうような強烈なタイプではない。
総評
400馬力を超える車でも長距離移動が何も問題なく走れるのは今の時代、多くのスポーツカーが有している性能だ。この車に限らず珍しい事ではない。
しかし、BMWのM4コンペティションは走りの楽しさの演出が上手い!
アウディのRS3も良かったが、乗っていて楽しい!と思えるのはこっちの方が圧倒的に上だ。
とにかくスポーツカー好きな人の心、BMWのMモデルに人々は何を求めているかを熟知している。そして、それを完全に車に詰め込んできている。
これだけの性能と楽しさがたったの1350万円で手に入るのは、すごいという他ない。
フロントグリルのデザインで食わず嫌いをしていたが、実際のM4コンペティションは想像の何倍も上を行く、本当に楽しいスポーツカーだった。