BMW車の中で一番好きな車。
発売された当時からBMWの8シリーズは断トツでカッコいいと思っていた。
BMWに詳しい人に聞いても『ちょっとBMWらしくないカッコよさだよね。BMWはもっとダサくないと。』と、それはそれでどうかとおもうが、ボディサイズやデザイン、エンジンパワーどれをとっても気になる一台なのは確か。
M8コンペティションの試乗記。
コンペティションに期待すると拍子抜け
スタンダードなモデルがあり、その上にMスポーツがあり、そしてトップにMモデルがある。そのMモデルの中でも最上級のスポーツ仕様の車の1つにコンペティションがある。ちなみにコンペティションとは競技とか競技会の意味だ。
類似された文字が搭載されたイタリアの車に乗ると、それはもう熱がある日には絶対に乗りたくないような乗り心地の悪さに驚く。
これはホントにコンペティションだと。
その経験からどれほどの猛獣のMモデルかと乗ってみれば、拍子抜けするほどのラグジュアリーカー。エンジンサウンドもドライバーの耳元にはエンジンをかけた時くらいしか聞こえてこない。
Mモデル+コンペティション
この組み合わせから想像する激烈な乗り味からはほど遠いマイルドな乗り味に、初めて乗った当時は拍子抜けしてしまった。
手触りの良いレザーシートに優しくてよく動くサスペンションの乗り心地。アクセルもブレーキも操作に気難しい所が一切なく、ハーマンカードンのスピーカーとシートヒーターで上質なドライブを、、、。
ん????
コンペティション、コンペティション、コンペティション????
と思った。
勿論全開で走ればそれはそれで凄いモンスターマシンなのは、持ってる心臓からもよくわかる。
だがしかし、自分のような一般人が乗ってもわかる凄さというか『おー!!!』って言うのが全然ないのが驚きであり、少々不満を持ったのが数年前。
だが、子どもも生まれて自分の心境や状況も変わった。
ロールスロイスやベントレーのようなラグジュアリーカーがそうだが、飛ばすわけではないのにエンジンはV8ツインターボや12気筒のツインターボが当然のように搭載されている。
速く走る事が出来るが走らないと、そもそも速く走れないとでは全く意味が違う。
そして遅いけれど快適な車という存在。
これは間違いで、
そもそも遅いのは快適ではない。
ロールスロイスのレイスいいなと思ってディーラーに見に行った事もある。コンチネンタルGTも大好きだ。
ん、待てよ、そういう目線で見たらM8も全然アリなんじゃないか??
V8ツインターボで625馬力、でもアルバイトへの通勤にも使えそうな優しい乗り心地だったと記憶している。
それで今回の試乗は高性能なラグジュアリーツアラーとして見たM8はアリなのか、無しなのかという目線でBMWへやってきた。
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4870×1905×1360mm
ホイールベース:2825mm
車重:1910kg
駆動方式:4WD
エンジン:4.4リッターV8 DOHC 32バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:625PS(460kW)/6000rpm
最大トルク:750N・m(76.5kgf・m)/1800-5860rpm
M8一般道試乗
1時間試乗枠で車を借りて乗ってきた。
600馬力越えの車はコンフォート設定のまま乗る事が義務付けられているためこのモードで走る。想定される用途的にも問題なし。
エンジンをかけるとタコメーターが跳ね上がりクオー!!とV8エンジンの気持ちよいサウンド。
BMWはこのエンジン始動のサウンドは結構こだわっていると思う。内燃機エンジン、レーシングエンジンの血筋はこうであって欲しいという顧客の声をキチンと汲んである、思わず車好きなら声が出るような始動音を鳴らす。
街中を走っているともうそれは快適そのもの。
サスペンション設定もコンフォートになってると、ぶっちゃけ普通の車(1シリーズ3シリーズ、X1やX3、アウディならA3、A4)と比べても全然遜色ない快適性能。
何ならMスポーツとかSlineモデルよりM8のコンフォート設定のサスの方がしなやかで揺れない。
窓を閉めると遠くの方で絶対速い、、、と思わせる野太いエンジン音が聞こえてくるけれど、エンジン音で胸が高まるまでは行かない程静か。
つまり街乗りにおいては快適そのもの。
BMWのX1や1シリーズを買う位ならM8の方が快適に乗れる可能性がある。
高速道路試乗
試乗場所を高速道路に移動。
高速道路に入ればこの車は生き生きと走る。
水平を保ったまま地面に張り付くように首都高のコーナーを曲がっていくところも、前車を抜かすために右足に込めた力に遅れる事なく即座に反応するところも素晴らしい。
運転するのが楽しい!と心底思える素晴らしい走りで、コンペティションかどうかは謎だがMモデルである事は間違いなく感じられる。
エンジン音は窓を開けて走っていてもほとんど聞こえず、高回転まで回してもやはり遠くの方でかすかに聞こえるのみ。
勿論コンフォート設定な事もあるけれど、途中エンジンをスポーツモードにしてマフラーのバルブを開けた。それでもこんな様子だった。
サウンドもバリバリボロボロ鳴らすことなく、基本的にはラグジュアリー方向へ振ってある気がする。
みなぎるエンジンパワーでアクセルに足を軽く載せているだけ。これでもう法定速度。踏むとそこから20km/h刻みでスピードが上がっていく。
まとめ
BMW M8コンペティションはラグジュアリーカーの用に使える車かどうか。
答えはYesだ。
ラグジュアリーカーの用に使えるかと言うか、これはもう完璧にラグジュアリーカーだ。
窓を閉めて走っていれば静かで快適そのもの。
後席が狭く特に天地が低いので、身長170cm以上の人は頭をまっすぐに立てる事は出来ない。小さい子ども用か臨時使用に限られる。
基本は2人乗り。
1人もしくは2人で基本はのんびりと、有り余るパワーをかけ流しの温泉の如くドバドバ溢れさせながらクルージングするような使い方が合う。
その際のエンジン音はほとんど聞こえない。
走行中に気持ちよい高回転サウンドが聞こえるところまで踏めば、スピードメーターの3桁目の数字はあっという間に2と表示されるだろう。
M8コンペティションよりもM8 luxuryの方がしっくりくる。
M8は大人のグランドツアラーそのものだと思う。
控えめなフロントグリルといい最高に好きだ。