2004年5月のCG。
自分のガヤルドは初期モデルなのでまさにこの頃の車だ。
その証拠にありとあらゆるところのチリが合っておらず、日曜大工の延長で作られたような品質が楽しめる。発売当時の試乗記を読んだのだが、それと比べて約20年後の今思う事。
タイムカプセル的な感慨深さ
自分がまだ20歳前後のハイパー極貧の頃、スーツなどとてもじゃないが一着買うことが出来なかった。
前半分だけしかないスーツを着て東京の街を肩で風を切って歩いていたんだ。
すると環七沿いを轟音と共にフェラーリとランボルギーニが通り抜けて行った。
その日から自分の人生は大きく変わった。
当時は2000年代の前半なので街中を走っている車はフェラーリで言えば360モデナや最新が430、ランボルギーニで言えば主流はディアブロだが、最新モデルがガヤルドとかムルシエラゴが走っている時代だった。
スーパーカーの多い銀座では走り抜けていくガヤルドや360モデナを見つけては、後ろ姿を見えなくなるまで目で追いかけていた。
そして今自分のガレージには当時走っていた憧れのガヤルドがある。
ずっと追いかけていてようやく追いついた。
ガヤルドで高速道路を走っていて、後ろから追いかけてくる国産車を見ると(回転灯が付くようなタイプの車ではない)、10年前の自分を思い出す。
憧れて眺めているだけだった時代から考えると、筆舌に尽くしがたいような不思議な気持ちになる。小学生の時に埋めたタイムカプセルを開封した時の気持ちに近いんだ。
そんなガヤルドが出たばかりの頃の試乗記を読んだ。
当時の最新の車はムルシエラゴとガヤルド。
今見ても色あせないデザインは流石ランボルギーニ。
ガヤルド試乗受付中
ガヤルドは最高出力500ps。
そしてエンジンが回る最高回転数は7800rpmだが、まさにこれ以上回らない最高回転数の7800rpmまで回した時に最大のパワーが発生するという高回転型エンジン。
この回転数まで回すと耳をつんざくような高周波サウンドになる。
後ろ走っていた人の言葉を借りれば『キーーーーン!!!!』という鋭いサウンド。
この白黒写真のエンジンが搭載された車、うちにあるぞという不思議な感覚。
正規ディーラーはミツワ自動車。
自分のガヤルドに貼られた正規輸入車の証であるミツワ自動車のステッカー。
試乗記の中の一文だが、下から3行目。
ガヤルドが精彩を放つようになるのは100km/hを超えるあたりから先のこと。
ガヤルドは1速で100km/h以上出る。
街乗りは遅すぎてこの上なくつまらないし疲れるだけ。
100km/hを超えてくるとようやくエンジンが生き生きとしてくる。
放流された魚のようにグングンと泳ぎ始めるような走りを味わえる。
文中にもあるが足元は窮屈。
クラッチがシートの中央辺りの延長線上についているので、強制的にお姉さん座りの姿勢になる。
まずは車のデザインを作る。そしてそこに巨大なエンジンを載せる。
余ったスペースにシートとハンドルを付けた。
というランボルギーニの車作りが腰痛と共に体験できる。
腰は痛いしギアは入らないし燃費は悪いわのポンコツマシンだが、駐車場に到着して振り返った時には自分が乗ってきた車がガヤルドである事を嬉しく思う。
何十年と乗り続けたらマジで体が曲がりそうだが、これからも大切に持ち続けようと思っている。