どちらの気持ちもわかる。
自分は極貧からスーパーカーを購入するのに至ったのでスーパーカーに乗っている人の気持ちは勿論、大好きなのに買えない人の気持ちもまたよくわかる。
今までの経験からこういう人は買えない、こういう人は将来購入できる可能性があるという要素の1つに”横乗り”に対する考え方があると思っている。
金のオノと銀のオノの話に似ている
20代の時にはコルベット、それから360モデナからのガヤルドが現在だが、これらの車を所有している間に覚えきれないほど多くの人に
『横乗りさせてほしい。』
『試乗させてほしい。』
『タダで貸して欲しい。』
と言われたことがある。
そしてこういうことを言ってくるほとんど全ての人は、今でも手に入れる事が出来ない人だ。
基本的に乗せて欲しいなんて言ってくる時点で車に、スーパーカーに興味がある事は間違いないだろう。車が好きな人なんてペットが好きな人と同じくらいたくさんいるので、もはやそれ自体は珍しい趣味嗜好ではない。
この人たちを見ていて思うのは、自分もそうだったが大好きな車だから本物に乗りたいという単純な好奇心や憧れもあるだろう。それは悪い事ではないけれど、それを相手に押しつけがましいスタンスの人も非常に多い。
所有者に対してはもっと敬意を持つべきだ。
これは”俺が君の事が好きなんだから一緒にホテルに行こう”と大して変わらん。
見ているとこういう人の多くは横乗り、もしくは試乗させてもらったことに味をしめ、他にも横乗りや試乗のレパートリーを増やしたいという迷惑な欲求を増やしていく。
そうなった彼らは横乗り乞食と化し、横乗りもしくは試乗する事を目的としてスーパーカーオーナーの集まるところに姿を現し始める。
そしてヤフー知恵袋に知ったかぶりをして
『フェラーリもランボも乗った事があるけど、本気で買う気ないなら辞めた方がいいよ。』とか書いている人たちの大半はこの人たちだろう。
唯一覚えている車好きな青年
上記のように試乗させてくれ!横乗りさせてくれ!タダで貸してくれ!という人は無限に出てきたが、こういう人たちの事はほとんど覚えていない。
反対に1人ハッキリと顔まで覚えている人がいる。
彼は20代前半のヤンチャそうな若者だった。
何かのイベント時に自分のフェラーリを見て腕を組んで、真剣なまなざしで車を見つめていた。
自分の将来に重ねているようにも見えた。
他の見物客が他の車を見に行っても、全く移動せず焼き付けるように見ているので話をしてみた。
すると思った通りで
”360が一番憧れの車だから絶対買う”
と決めているのだという。
ハッキリと自信を持っていう彼に感激して、将来のイメージのために運転席に座ってみるかと聞いてみた。
すると、
『ありがとうございます、大丈夫です。自分で買って座るので今は乗りません。』
と毅然と答えた。
彼とはそれっきりだけど、こんな人にこそ乗って欲しいし自分に応援出来る事があれば応援したいとすら思う。
その後に運転席に座らせてくれとタバコを咥えながらやってきた3人組にはお帰り願った。
スーパーカーは金メダルと同じ
例えば今、自分もポルシェに乗っていて、”911ターボにするのかGT3にするのか決めたいから乗せて欲しい”というのと、安価な自動車に乗っていて現状絶対買えないのに”いつか買う時の参考にしたいんで、、、。”乗せて欲しいというのとでは全く話が違う。
持ってない人の多くは分からないけれど、実際所有している人の多くは『想像を絶するような努力』をして憧れの車を手に入れた人がほとんどだ。
しかし彼らは賢いのでそういう所を他人には見せない。
だから他者は簡単に手に入れたのだろうと思い、気軽に横乗りさせて試乗させてとお願いする。
この行為はメダルをかじったどこかのバカの行動と近い。
相手に対する敬意が微塵もない。
スーパーカーオーナーの中にもいろんな人がいるので、喜ぶ顔を見たくて横乗りをさせてくれる人だっているだろう。
その人達の多くは無償で、ボランティアで、手間や時間やガソリン代や部品の消耗もさせて、好意で乗せてくれているという事を忘れてはいけない。
スーパーカーを本気で欲しい人の心構え
いろんなスーパーカーに横乗り&試乗して”スーパーカー物知り博士”になった人でオーナーになった人を見たことがない。
試乗が目的ならそれは結構。
でも本気で欲しいと思うのであれば、現在所有できない自分を悔しいと思うべきだ。
自分より若くしてスーパーカーオーナーになった人に
『今度横乗りor試乗させて!』
なんて言っている年長者は、もはや自分のスーパーカーを諦めているように見える。
もし自分の事として考えたら、恥ずかしくてそんな事言えない。
絶対に彼よりもいい車に乗ってやろうとは思うが。
悔しい自分から抜け出すためには、今すぐ考えうる全ての行動を起こして努力してもらいたい。
そうして結果を残した人が手にすることが出来るのがスーパーカーなんだ。
住む場所にもよるけれどスーパーカーの登録台数は1万台に1台とかそんなものだ。
自分の周囲1万人のグループの中でトップになる勢いで頑張ってもらいたい。
それが出来なければ最大限、所有者には敬意を払おう。
そういうところは見せないのでわからないだろうけれど、スーパーカーを持ち続けるって大変なんだから。