ブランドネームとBMWの手腕。
世界最高のラグジュアリーカーの象徴ロールスロイス。
実はこの現代のロールスロイス、創業20年と少しくらいの新興企業なのである。
あれ?もっと昔からベントレーと共にあったのでは?そう思った人は詳しい。
現在のロールスロイスと過去に何があったかを振り返る。
ワーゲンとBMWの買収合戦の結果
自分が下ネタ交じりで説明するよりとてもわかりやすくまとめた記事があるので目を通して欲しい。
古くて新しいメーカー
ロールス・ロイスという名前には長く輝かしい歴史があるが、現在の「ロールス・ロイス・モーターカーズ」社は、厳密には1998年にBMWがゼロから立ち上げた自動車メーカーである。
アラフィフ世代以上の好事家の皆さんならご承知のように、1931年から98年までのロールス・ロイスはベントレーと一体の企業だった。そんな英国の最高級車メーカーをめぐって、1990年代にフォルクスワーゲン(以下、VW)グループとBMWが激しい買収争いを繰り広げたのだった。
買収合戦そのものは、実体ある自動車メーカーとしての旧ロールス/ベントレー本体をVWグループが買収することで決着したが、BMWも負けてはいなかった。ロールス・ロイスの商標権が、じつは自動車メーカーとは別の航空機エンジンメーカーである「ロールス・ロイス・ホールディングス」が所有していることを突いて、ロールス・ロイスの商標権だけを譲り受けることに成功した。
こうしてBMW傘下でロールス・ロイスの名の下で設立された新しい超高級車メーカーが、最初に手がけたのが、2003年にデビューしたファントムだった。
ファントムは初代が1925年にデビューして、今回の新型で通算8代目となる歴史ある銘柄だが、前記の経緯からもお分かりのように、歴史ある工場や熟練の職人、そして架装技術など、有形無形の資産をすべて受け継いだのはVW傘下のベントレーのほうだった。
やんごとなき乗り物
BMWの手腕とネームバリューの強さ
車好きな人なら知っている人が多いと思うが、ロールスロイスはここのところ過去最高の販売台数を記録している。
歴史ある工場や熟練の職人、そして架装技術など、有形無形の資産を全てフォルクスワーゲンに持って行かれ、BMWの手元に残ったのは『ロールスロイス』という名前だけ。
車もゼロから全てを作り上げたにも関わらず、技術も職人も全て持っていたフォルクスワーゲンのベントレーよりもむしろ、上位に立っているように見えるBMW謹製ロールスロイス。
中古車の価格だってベントレーよりもロールスロイスの方が高値を維持しているように見える。
ここですごいと思うのが我々一般人が”ロールスロイスがもし普通に買収されることなく続けていても、恐らくこんな姿になったのではないか、、、?”というごく自然なデザインを作っているところだと思う。
違和感が無いし本家BMWのデザインに比べても圧倒的にシンプルで魅力的なデザインに見える。(今のところ)
最近は少し怪しくなってきたが、誰が見てもBMW製なデザインではなく、むしろこれを知って『今のロールスロイスってBMWがゼロから作り上げた車だったの?!』と思う人がいても不思議ではない。
その位自然な形でデザインを踏襲している。
BMWのそこの実力は見事としか言いようがない。
車はエンジン他ナビ類は完全にBMWのそれとわかるが、それにしてもエンジン屋の異名を持つBMW。
デザイン以外は安心して任せられる実力派ブランドである。
むしろワーゲングループベースのベントレーと差別化されていてとても興味深い。
そしてロールスロイスという名前がそれだけ強い事の証明でもある。
高級腕時計の世界でもそうだが、歴史というのはブランドにとって重要なステータス要因である事がここでもわかる。
自分のようにおっさんになってくると、派手なカラーのスポーツカーよりもロールスロイスやベントレーのようなラグジュアリーな高級車がとても気になる。
気になっているだけで買えないが。
飛ばす車ではない、ゆっくり走るのが似合う車だ。
それなのにV12ツインターボの600馬力越えって最高じゃないか。
日常的などんな速度域でも低回転で穏やかなエンジン音が囁くように聞こえるだけだ。
30km/hで走っても100km/hでもアイドリングに毛の生えた程度の回転数だ。
スポーツカーを爆音マフラーにして、全ての道を1速で走って騒音をまき散らすことを卒業すると、こんな本当の大人の車がとても気になるのである。
最後に。
それは間違いない。
そこかしこにBMWの影が見え隠れする。
『バリューローンなら今なら月々51万円!!』
というような広告がしばしば流れてくる。
中身が庶民派メーカーだって事がバレバレなのだが、5000万円の車で
『バリューローン』や『バリュープライス』
は辞めてもらえんかね?
画像はコーンズより