ミニバン天国日本。
日本はミニバン天国である。右を見てもミニバン、左を見てもミニバン。スポーツミニバン、威圧系ミニバン、カッコイイミニバン、カワイイミニバン、軽自動車でも背の高いミニミニバンが大流行中だ。
こんなに人気で便利(らしい)車が、ヨーロッパでは全然人気が無いというのだ。
なぜ??なぜ??
ヨーロッパのミニバン事情を探る。
田舎だけでなく銀座もミニバン一色
東京には7年位住んでいた。
当時、築地の飲食店で働いていたので、徒歩圏内である銀座へはよく遊びに行っていた。車好きな人はわかってくれるかもしれないが、銀座は日本で一番お金持ちが集まる街の1つなので、週末の夜となれば高級車があちこちに停まっている。
お店やネットで見る車と違って、本物の野生のスーパーカーを見られるのはテンションが上がる。
まして銀座は高いビルが並んでいるので、路地を走るスーパーカーのサウンドは響き渡り、『自分の周囲2km以内に間違いなくV12エンジンの車がいる!!』と音で興奮していたものだ。
そんな銀座も今ではミニバン一色である。
たまに輸入車、スーパーカー系も見るものの、やはり目に付く大半の車はミニバンだ。
色は圧倒的に黒が多い。
昔はベンツのような黒系のセダンに手袋をした運転手が、高級ブティックの前でオーナーを待っているシーンが多く見られた。
今ではそれが黒いミニバンに変わり、高級ブティックの前にはミニバンが連なり、そこで手袋をした運転手達が、オーナーの買い物が終わるのを待つ。
過去の風景を知っている身からすると、なんというか、、、。
オブラートに包んで言うと、非常にカッコ悪い。
近くの保育園のお迎え時間もミニバンの大群&路駐の嵐だ。
色は圧倒的に黒や紫が多い。
駅から遠い中学や高校のお迎えでも、ミニバンの大群がバスツアーのように並んでいる。
全く同じ光景が銀座でも繰り広げられる。
銀座も10年で随分変わってしまったと思う。
ヨーロッパではクルマのヒエラルキーが明確
そんな日本で圧倒的人気のミニバンだが、ヨーロッパではほとんど売れていないというのだ。
日本のミニバンが売れているのは日本を始め、中国、東南アジア、アフリカの発展途上国に多い。
ヨーロッパでミニバンが人気にならないのは、ヨーロッパの伝統を重んじる文化も影響している。
ヨーロッパの人たちにとって、クルマは自分の生活を映し出す鏡だ。基本的には、所得や年齢に応じて購入するブランドがある程度決まる。
高級車では、メルセデス・ベンツが50代以上、またBMWが30~40代のイメージだ。
また、フォルクスワーゲンは庶民派のイメージが優先する。
さらに庶民派なのが、オペル、ルノー、そしてフォルクスワーゲン系のセアトやシュコダになる。
このようにクルマに対するヒエラルキー(社会的な序列)がはっきりしているのが、ヨーロッパである。
そうしたなかで、ミニバンとなると、高級車にしろ庶民向けのクルマにしろ、商用のイメージから、ヒエラルキーが下がる。
一方、日本の場合、ミニバン市場が確固たる地位を確立しており、そのなかでヒエラルキーが存在する。
トヨタ・アルファード/ヴェルファイアを頂点として、スーパーハイト系の軽自動車までミニバンでの「偉さ」を気にするユーザーが多い。
こうした日本人の感覚が、ヨーロッパでは通用しない、ということだ。
その他の地域でみてみると、アメリカでもミニバンのヒエラルキーは低い。
ミニバンは子どものサッカークラブの送り迎えをするために主婦が乗る「サッカーマムのためのクルマ」と表現されることが多く、男性が積極的にミニバンを購入する文化はアメリカにない。
日本より長距離移動が多いのになぜ? ヨーロッパでミニバンが流行らない理由とは
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人生を諦めた人が乗る車とも
イギリスの有名自動車評論家のジェレミークラークソン曰く
ミニバンとは『人生を諦めた人が乗る車』だと紹介されている。
日本は広告の打ち切りを恐れて、口が裂けてもこんなことを言える評論家はいないと思うが、こうした発言からもヨーロッパにおいて"ミニバン"という乗り物の地位がいかに低いかがよく分かる。
携帯電話にしろ、自治会にしろ、ミニバンにしろ、島国であるが故に独自の文化を多く持つ日本。結局自分の好きな物に乗ればいいのだが、このように同じ車でも日本では"銀座に乗り付ける車"のポジションを得ている車でも、国が変われば"人生を諦めた人が乗る車"になってしまうのである。
まとめ
ヨーロッパでミニバンが不人気な理由は以下の3点だ。
①安全性が低い
②走行性能が低い
③ヒエラルキーが低い(地位、階級、労働者階級)
上記の理由により、ヨーロッパではミニバンは人気が無い。
昔のワーゲンバスのデザインにゴルフのエンジン載せて発売してくれたら、すごく興味あるのになぁ。
写真AUTOCAR JAPAN