自分の時計について詳しく知る。
先日、ついに念願だったヴァシュロンコンスタンタンの機械式時計を手に入れた。写真で見ると大きくて立派に見えるけれど、現物は驚くほど小さい。(36mm弱)
ブログにアップするため写真を撮って、拡大して見る方が細部まで良く見えるほどだ。
このシャンベランという時計についてほとんど知識がないので勉強してみた。
世界限定200本の時計
このシャンベランは、搭載される超薄型自動巻きムーブメント『Cal.1120』の30周年を記念して1997年に製造された、世界で限定200本の限定モデルである。
搭載しているムーブメント『Cal.1120』は現在のトラディショナルやオーヴァーシーズのエクストラフラットモデルにも搭載されている。
1997年に30周年な訳だから、ムーブメントの誕生は1967年!
1967年に作られたムーブメント及び機構が現代のモデルにも搭載されているという事に驚きである。
時計の裏面を除くとローターにはヴァシュロンコンスタンタンの象徴である”マルタ十字”がデザインされ、職人による彫刻が施されている。
そしてこのムーブメントはジャガールクルトのムーブメントCal.920をベースにしているのだとか。
シャンベランに採用されるCal.1120について
何といってもムーブメントが魅力であるシャンベラン。そのムーブメントには大きく2つの魅力があるそうなのだ。真ん中あたりのローターの説明はかなり専門的なので、興味なければスルーで大丈夫!
<ジャガールクルトCal.920の高評価ポイント>
シャンベランに搭載されるムーブメントはCal.1120です。これは、ジャガールクルトのCal.920をベースにしていますが、時計業界の中でも屈指の名ムーブメントとして評価されています。高い評価を得るポイントはいくつかありますが、ここでは主に2つの点を紹介します。
①雲上三大メーカー専用ムーブメント
真実はさておき、Cal.920は「パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンの3メーカーに向けた専用ムーブメント」と言われます。製造するジャガールクルトさえほとんど搭載しないようです。それを、それぞれのメーカーが独自の技術でブラッシュアップします。そのため、キャリバー名はメーカーごとに変わります。パテックフィリップならCal.28-255、オーデマピゲならCal.2120系、そしてヴァシュロンコンスタンタンはCal.1120系です。
Cal.920は、“薄い自動巻ムーブメント”を目指したものです。そのため、薄くする工夫があります。その薄くする工夫のひとつが、レール付きローターなのです。そもそも、レールが存在する点で、見た目の個性が際立ちます。ただし、個性だけのためにある設計ではありませんので、少し説明をしておきましょう。
一般的に、自動巻式時計は、腕の動きでゼンマイを巻きます。よくある仕組みとしては、ムーブメントの中央軸に半月形の“回転する錘(おもり)”を付けて、それが回転するとゼンマイが巻き上がる仕組みです。この“回転する錘”を「ローター」を呼びます。ローターは中央の軸に、“ある程度滑れる状況でしがみついている”イメージです。このローターの信頼性を高めるために、一般的な自動巻ムーブメントは、中央を丈夫に設計する必要があります。しかし、中央は元々他の歯車などが設置されている部分です。そのため、ローター中央部分を“丈夫な設計”にすると、中央に部品のボリュームが出て、厚みが増えてしまいます。
Cal.920は、その解決策として、外周部分を巧みに使っています。ローター外周にレールを設けて、レールの下に4つのルビー製ローラーを設けるのです。これで、中央の1点と外周レール下の4点、つまり計5点での支えになります。この5点支えにより、特に中央部分を“丈夫な設計”にする必要がなくなり、ムーブメントを薄くできるのです。結果、厚み2.45mmという、薄い自動巻ムーブメントが実現しました。
上で紹介した2点が、Cal.920の主な魅力です。その背景や独特の機構に魅力があるムーブメントなのです。
ヴァシュロンコンスタンタンの世界観を理解するなら、「コメモレーション」モデルから!! ~其の二、コメモレーションの主役は「シャンベラン」~
Komehyo
シンプルな美しさ。
ムーブメント30周年記念の限定モデルというのも魅力。(ブティックで聞いたところ、日本人は限定に弱いらしい)
何一つ不満なところが無く最高だ。
写真右側に見えるリュウズを巻くと時計が動き始める。
その際の『カチカチカチ』と歯車が動き出す音が何とも言えない良い雰囲気。
彫刻が施されたローターの外側金色部分は21金で『VACHERON CONSTANTIN』の文字。その上にあるシルバーの、模様が彫ってある場所の幅は1mmほどである。
つまりその上にデザインされているマルタ十字のロゴは、細いところでは1mmの1/4ほど。(約0.25mm)
約0.25mm幅のそこにまで模様が彫り込んであり、非常に細かい。
もはや肉眼では良く見えないので、写真を撮って拡大しないと何が起こっているのかわからない。
ここまで手を入れてキレイにしてあるムーブメント及びローターを表には見せず、オーナーしかわからない密かな楽しみとして残してあるのが、何とも粋な感じがする。
腕にしている限り、興味ない人が見たら全く気にもならない小さい時計。
そんな時計の中にこんな背景がたっぷり詰まっているのだ。
単に時間を見るための道具ではない。
だから、こうして機械式時計は皆に愛されるのだとわかった。