チビティグアン。
大SUVブームの中ワーゲンが最小のSUVを発表。その名もTクロス。
ワーゲンのSUVは皆Tから始まる名前だ。
小さいティグアンの姿をしたこのSUVの走りを確かめてみよう。
旧型のパーツを組み合わせてうまく作ってある車
このTクロス、値段も抑えた車になっているため、中身は旧型の部品が多く使われているよう見受けられる。
エンジンは1リッターでポロからの流用だろうが、メーターも今どきのデジタルではなく一世代前感の強いアナログメーターだ。
2眼メーターの中央に小さな液晶があるが、そこに表示される速度や文字情報のドットが荒く、古い車感は否めない。
ただし外装や内装の立て付け、ドアの剛性感から各部の隙間の無さはさすが高精度フォルクスワーゲンの、まさに隙の無い作り。
エンジンの類が最新でなくても、何年も使って熟成されたエンジンであるならば、それも安心感ととらえることもできなくもない。
フォルクスワーゲンTクロスTSI 1stプラス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4115×1760×1580mm
ホイールベース:2550mm
車重:1270kg
駆動方式:FF
エンジン:1リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:116PS(85kW)/5000-5500rpm
最大トルク:200N・m(20.4kgf-m)/2000-3500rpm
タイヤ:(前)215/45R18 89V/(後)215/45R18 89V
燃費:16.9km/リッター(WLTCモード)
価格:335万9000円
タイヤは18インチの大きいサイズ。
駆動方式がFFだけなのも今どきのシティユース用コンパクトSUVだ。
最近は暖冬で雪も降らないし、豪雪地帯でもなければ困ることもないだろう。
後ろ姿は現行のポルシェマカンやカイエンのような左右がつながったデザイン。今はこのデザインが流行っているのだろうか。
プレスラインが折り紙を爪できっちりと折り目を付けたようにキレイで、ドアの隙間も小さい。この辺は流石。
インテリアは従来のポロのメーターに、、、というか結構まんまポロだ。
当然ベース車両はポロなのだが。
だが、それが安っぽい作りになっていない。
ハンドルはほんのりD型。運転しづらさはなく、丸いハンドルと同じように使える。
後席は広く足元の窮屈さもない。
車両後部のラゲッジスペースも日常的に使う分には十分な広さ。
市街地走行
エンジンをかける。
3気筒エンジンだが気になる微振動等はなし。
アクセルレスポンスも優しくブレーキもソフト。SUVで目線も高いため、どこにも気難しさがなく楽に運転することができる。
ギアはどんどんシフトアップしていき、車内にエンジン音も響いてこないので、街中を走っている限り変速を意識することはない。
サスも気になる突き上げ等もなく快適。
街中を法定速度に合わせてゆっくり走っているとメーター上の燃費系は19km/lを表示している。
1.4リッターで4気筒のアウディA3でもゆっくり走れば16km/lくらい行くので、1リッターエンジンであれば20km/l近く走らせる事は十分可能だろう。
加速チェック
パドルシフトは付いていなかったので、ギアシフトレバーを用いてマニュアルモードで強い加速を試した。
7DCTではあるが、アウディやポルシェのPDKとは違いやや変速にラグを感じるもの。
緩い感じでシフトチェンジする。
当然背中が張り付くような加速を見せることはないが、1リッターとしてみれば十分な加速である。高速道路の合流車線でも慌てることはないだろう。
総評
何とも優しい乗り味のコンパクトSUVだ。
最新の装備で固められているわけではないので、所謂最先端のフォルクスワーゲンを体験することは出来ない。しかし、熟成の進んだエンジンで快適に、肩の力を抜いて運転することができる。
運転していて楽しい類の車ではない。
低速のパワーはやや足りないが、その分燃費も良い。元からこの車を選択肢にする人はそこまでパワーを求めないだろうから、そこは大きな問題にはならないと思う。