華やかに見える商売もバックヤードまでそうとも限らない。
物を売るという事。
特に在庫を抱える商売は本当に大変だ。自動車ではBMWのディーラーに対する過剰ノルマの件で公取委が入った。どこの正規店も大変だ。
ネットが普及した今、それぞれの自動車ディーラーでどのくらいノルマがあるかの検討材料に『登録済未使用車』の台数がある。久しぶりにハーレー店へ訪問し、担当氏と再開し話をした。隣には走行距離1kmの新古車が2台並んでいた。
正規店にとって中古車買い取りって?
郵便局の年賀状ノルマ、生命保険ノルマ、損害保険ノルマ、台数ノルマ、、、、世の中はノルマ地獄だ。ノルマは辞めよう、とノルマを『目標』に変えた会社もある。目標の意味は【ノルマ】である。
担当営業さんは大のバイク好き。
話をしていてバイクが好きでたまらないのがヒシヒシと伝わってくる。こういう人が営業でいるお店は魅力的だと思うが、好きなものに囲まれた仕事もいい事だけではないようだ。
中古車の買い取りに関して力を入れていないように見えたので、そのことについて聞いてみた。
実際得られた回答はお察しの通りと。
兎にも角にも、新車の規定台数を100%で捌かないと正規店契約が打ち切られてしまうと。それなので、新車を売ることが何より最優先になっているようだ。
正規店の看板を取られてしまうと、いままで買ってくれたお客さんにも申し訳が立たないし、今後のサポートが出来なくなってしまう。
だから、うちで新車を買ってくれたから下取り時は高値で買い取りたい気持ちはあるのだが、実際売れない期間もしばらくできる可能性も考えるとそれもできない。
大規模で体力もある全国に展開しているような系列店なら出来るところもあるが、小規模でやっている事業者には本当にキツイ。
他の正規店で聞いたことがあるが、カレンダーをはじめ販促品もみな正規販売店は大元から買取させられる、と言っていた。
正規店の経営など、経済的な体力がないと絶対できない仕事だという事がわかる。
BMW問題とも通じる値下げ過当競争
体力のある正規店が登録済未使用車を大量に作り、仕入れ値よりも安い値段でドカンとネットにアップする。すると、それらを見て来店したお客さんが『ここのバイクはあれよりも年式が古くて距離も走っているから、ここまで値段下げられないか?』と言われることがあるのだそうだ。
それに応えることができないと言っていたのは前述の通り。
クルマ本体を安く出して整備代で利益を出していくパターンもあるだろうと思うが。
我々にとって欲しいものが安く手に入ることは喜ばしい事だ。
しかし、この状況が続いていけばいずれはどんどん正規販売店は減っていくのではないかとも思う。
ドイツをはじめ欧州では2030年頃にはガソリン車を販売禁止にしていく、という方針が続々と打ち出されている。実現するかどうかはさておき、世界的にそれに向かっているので、今のうちに正規店にガソリン車を押し付け販売してしまえ、というメーカーの思惑もあるのかもしれない。
いずれにしても自動車の大きな変革期に差し掛かっているのは間違いない。
複雑な状況もあって、見た目の華やかさとは別に販売店は大変なようだ。