成績優秀な速いデブ。
SUVブームは陰りを知らぬ勢いで隙間なくラインナップを埋める。
もれなくBMWもそうで、X1から始まり現在はX7まで一部の隙もなく揃えてある。そして2020年にはX8の情報まで。
正直、ここまで来ると笑うしかない。
カイエンとカイエンクーペ、Q7とQ8。クーペスタイルのSUVなどという謎のジャンル。俺はこのブームは後で、やりすぎなくらいのそんな時期あったよね、という話のネタになると思うぞ。
ちなみにだが、俺はSUVは好きだ。
スノーボードもスキーもやるし、海に行ってシュノーケリングしたりするのも大好きだ。そうした時SUVはドンピシャにハマる。
しかし元来のひねくれ者であるため、流行っているものには興味がなくなってしまう。
ただし、本当はSUVが好きなのである。
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4726×1897×1669mm
ホイールベース:2864mm
車重:1970kg(DIN)
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:510ps(375kW)/6250rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgm)/2600-5950rpm
タイヤ:(前)255/40ZR21 102Y/(後)265/40R21 105Y(ミシュラン・パイロットスポーツ4S)
燃費:10.5リッター/100km(約9.5km/リッター、欧州複合モード)
価格:1292万円
X3に新型の直6、3リッターMエンジンを搭載したのがこのX3M コンペティション。
最近のBMWはMモデルもそうでないモデルもみんな、強面フェイスなのでMバッジがないと俺には通常のX3と見分けがつかない。
だが、このX3カッコいいじゃないか!ちっと鼻の穴がデカいが、車体も大きいので仕方ないか!
今回のX3は前も後ろもデザイン的にけなすところはないぞ。
この赤いMボタン、事前に走行モードやセッティングを登録しておいき、ワンタッチで切り替えられるもの。今までもあったが、スイッチの場所とデザインが変わった。
この、危険ですよ!的な赤い色がミサイルの発射スイッチみたいで好きなのだ。
ランボルギーニのスタータースイッチ的な。
シートは硬めではあるが、ホールド感の優れた座り心地の良いシートだ。ハンドルはMステッチ。
市街地走行
エンジンをかける。
直6の抜けの良い始動音!たまらん。
BMWのMモデルは始動時の音がどれも良い。
今から強心臓を持つ特別な車に乗るぞ!という気持ちにしてくれる。
見た目は普通の車なのだが。
窓を閉めてそろそろと走り出す。
コンフォートモードでの試乗だが、まぁ~快適。
エンジン音も車内に入ってくるわけでもないし、アクセルもブレーキも神経質なところが何もない。路面のショックも抑えつつ通常のX3と大差ない快適性で走る。
あとで後席にも乗ったのだが、後席の方が前席よりゴツゴツするのは感じやすい。
しかし、そんなん日産のマーチに乗ればもっと揺れるし跳ねる。
強いて言えば、、、くらいのレベルだ。Mモデルとしてみれば(しかもコンペティション)極めて快適!
運転していてあまりに安楽なため、眠くなってしまった。
加速チェック
開けた道でパドルを使用し、2速からの強い加速を試みた。
DCTのように滑らかなシフトチェンジ。そして高回転に行けば行くほど、アクセルの踏力に対して車が前に出る。速い。
何よりもこの高回転時のエンジン音が大変すばらしい。
以前、M2コンペティションに乗った時もエンジン音の良さに感激した。
やはり同じ血筋のエンジンだ。
高回転まで回った時の官能的なサウンドはM5などのV8エンジンをも上回る、と個人的に思う。
2トンある車とは思えないほどの加速力だし、サウンドも大変すばらしい。
6気筒でここまで官能的な音がする車は他に991~のGT3くらいしか知らない。
総評
ゆっくり走っても快適で、飛ばせば速い。荷物も人も乗せられて音まで良いのだ。
万能すぎる。
素晴らしくいい車で非の打ち所がないのだが、同時に疑問も残る。
結局のところ、家族を乗せて走るのであれば飛ばさないし飛ばせない。
ゆっくり走るのであれば標準のX3の方がもっと乗り心地が良く、燃費も良いだろう。
それから、この車でスポーツカーのツーリングに混ざって走るのはどこかマヌケな感じがする。でも、普段乗る車としてはオーバースペックすぎる。
1台しか持てない人にはスポーツとユーティリティの両方の顔があるX3Mはいいと思う。だが、このクラスの価格帯の車を検討できる人は、きっと複数台持ちも検討できるだろう。
その面ではこの車を欲しがる層はすごく限定的だと思う。
車の出来は申し分ないのだが、俺は速いSUVっていうジャンルの魅力がいまいちわからないのだ。