スポーツカーには夢がある。
燃費が良くて荷物が載って、人が多く乗ることができて、足やアソコを振り回すとトランクが開くような車は生活に便利で役に立つ。これらは性能の差こそあれ、いうなれば家電だ。白物家電である。電子レンジや洗濯機、エアコンに掃除機だ。
対してスポーツカーはそれらの車に比べれば、ほとんど何も役に立たない。
だけど欲しいのだ。
役に立つから欲しいのは当たり前だ。
役に立たないのに欲しいと思えるスポーツカーという存在が尊いのである。
以前全く車に詳しくない人と同乗中、隣を颯爽と通り過ぎていくフェラーリを見て
『あんな車は椅子もフカフカで、中も静かで燃費も良くて、さぞかし快適なんだろうね。』と、意味不明なことを言っていたことを覚えている。
しかし、興味のない人から見る『いい車』の定義はあくまで白物家電の延長線なのだろう。
実際に乗ればわかるが、椅子は硬いしガタガタするし、怒鳴らないと会話できないし乗ったらたまげるぜ。
そんなものに1000万円以上出すなんて馬鹿なのか、、、と多くの人は思うだろう。しかし、車だけに限らず美しい物ほど耐久性がないのだ。
普段買い物に出かけるのはジャージでも良い。しかし、結婚式の日に着るのはシルクのウェディングドレスだ。スーパーカーはウェディングドレスなのである。
さて、そんな夢があるスポーツカー(スーパーカー)で今年乗った中でも特に良かった5台を紹介する。この5台であれば、どれを買っても充実したクルマライフを送ることができるのは間違いなし。
目次
フォルクスワーゲン ゴルフR
誤解を恐れずに言えばゴルフRは5人乗りのポルシェ、ケイマンだ。
実際にはポルシェ製ではないのだが、この無敵の安定感と速さとオールマイティに使える懐の深さ。これはポルシェの専売特許だと思っていたが、このゴルフRにはそれが全て当てはまる。
速いし中は広くて快適、コンパクトで使い勝手も良い。
使い勝手がいい車はワクワクすることがなく、ワクワクする車は使い勝手が悪いのが常である。しかしゴルフRはワクワクするのに使い勝手がいいのだ。
完璧な1台。
アバルト 595コンペティツィオーネ
100点満点。
イタリアの製品は感性に訴えかけてくるものが多い。
フェラーリを始めとしたスーパーカー勢の多くはイタリア製だが、このアバルトの595コンペティツィオーネ、それらスーパーカーに全く引けを取らない溢れ出る魅力がある。
極端にレーシー。
このコンペティツィオーネは『競技仕様』の意味だが、車を運転する楽しみを五感全てで味あわせてくれる。それも、相当粗削りに、だ。
『男ってこういうものが好きなんだよね~!』ってのが全部入りなったのがこの595コンペティツィオーネ。
数値だけ見ると大してことないが、乗らなきゃわからないスゴミがある。
MT推奨。
スバル WRX STI タイプS
日本製スポーツカーでこんなに心が躍ったのは初めて!
見た目は個人的にはそんなに好きではない。俺は平べったいスポーツカーが好きなので。ただし、背が高い分だけ頭上は広々していて快適だ。真っ当な後席があるのはWRXの強み。
エンジンはドロドロボクサーサウンド。ケイマンなんかとよく似てる。
ケイマン、ボクスターの4気筒がスバルに似てるのか。
ただしこのサウンドのイメージ通り、スポーツモードに入れたときの荒々しい感じがたまらない。運転してて笑顔になれる。
日本車でどれか①台選ぶなら迷わずWRX STIのMTだ。
ポルシェ 718ケイマン
向かうところ敵なしの攻守万能っぷり。
このケイマン、見た目も良いし乗り心地もいい。走りも良くて雨の日も風の日も乗ることができる。
ポルシェのスポーツカーで魅力に思っている要素の一つに、PDKによるシフトチェンジの速さがある。今ではほとんどのDCT、トルコンATが相当な変速スピードまで来ているがこのケイマンもとても速く、気持ちよく変速する。
GT3のPDKはもっと速いようだが、このケイマンだって十分楽しい。シフトアップ&ダウンを無駄に楽しみたくなってしまうのだ。
マジで万能なスポーツカー。
BMW M2 コンペティション
とにかくエンジン音が良い。
窓を開けて運転していると回転の上昇とともに、弾けるようなサウンドが響き渡る。
ターボエンジンであるにも関わらず、そこらのNAエンジンよりも音がいいのだ。裏でスピーカーが活躍しているのでは、、、と疑ってみてしまうが、もしそうだとしても全然問題ないと思える素晴らしいサウンドだ。
ゆっくり走れば普通に静かで快適な車。飛ばせば気持ちよい加速に素晴らしいエグゾーストノート。
なんて素晴らしい車なんだ。
最高過ぎる。
以上今年乗ったスポーツカーで最高だったスポーツカー5選でした。
合わせて最悪だった車もどうぞ。