まさに万能マシン。
以前もS3のレビューを書いたが、今回はマイナーチェンジ版。
アウディのスポーツモデルは本当に速い。
A3でも元気に走るがS3になるともう俄然パワーアップする。値段も倍くらいになるが、スポーツカーも真っ青なホットハッチをお望みなら、間違いなくS3は楽しめる。
最近はスポーツカーでも日常使用できるモデルが多い。
昔は玄人にしか運転できないからこそ、スポーツカーやスーパーカーは憧れられる対象でもあった。しかし、今では大半のスポーツカーやスーパーカーは免許を取り立ての人でも運転できる。勿論、速く走らそうとすると難しいが、普通に運転することなら誰だってできるのだ。
このS3はそのまさにど真ん中で、街乗りも全く問題なくスポーツ走行もバッチリな車だ。例えば平日は奥様がお買い物に使い、週末は旦那さんがスポーツ走行を楽しむという使い方もできる。
後ろにキチンと人も乗れるアドバンテージを考えると、勇者のポルシェに迫るどころか超えている一面もある。
アウディS3スポーツバック
・ボディ寸法
全長×全幅×全高:4335×1785×1440mm
ホイールベース:2630mm
車両重量:1520kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット/R4リンク
駆動方式:AWD
・エンジン
形式:直列4気筒DOHCターボ
排気量:1984cc
ボア×ストローク:82.5×92.8mm
圧縮比:9.6
最高出力:290ps213kW)/5400-6500rpm
最大トルク:380Nm/1850-5300rpm
使用燃料:プレミアム
・トランスミッション
7速DCT
・燃費
JC08モード:14.7km/ℓ
価格:633万円~
コンパクトな車体だが高速安定性を高めるため、横幅は少し大きい。だが、全く問題になるサイズではない。日本国内で使うには最適なサイズだ。大きなSUVを見るといいなと一瞬思う。
でも、到着した客先が車一台停められるかどうか、そんなスペースの時はサイズが小さいことがアドバンテージになるのだ。
車も走るための装備が幾つもついており、フロントバンパーのメッシュも国産車に多いメッシュ調ではない。
リアは4本出しマフラーとディフューザー。見る人が見れば速いモデルだと一目でわかる。
MMIナビはまだ小さい旧型タイプ。次回モデルチェンジの際はナビも今どきの大きな画面に変わるだろう。ハンドルはD型。
6速から7速のDCTになった。
エアコンの吹き出し口のデザインがカッコいい。シンプルなスイッチ類。
後席は狭い。ゴルフの方が明らかに広い。
街乗り
エンジンをかける。
4本出しマフラーから低いサウンドが吐き出される。
ブレーキはA3よりもさらに強化されており、初期制動からガッツリと効く。国産車からの乗り換えだとカックンブレーキになること必至。
逆にスポーツ走行することを考えると、このくらい効きがいいと安心して飛ばすことができる。
コンフォートモードにするとサスペンションは当然やや硬めではあるが、十分許容範囲な硬さで穏やかに走る。エンジンパワーもレスポンスが落ち、強く踏んでもあまり加速しない。
気を遣わず運転できるモードだ。
A3と比べれば車内は明らかに賑やかで、サスも硬い。
ただ、ガチガチな硬さではないまろやかな硬さである。
パワーがあるのでスイスイ進んで運転が楽。
加速チェック
次は走行モードをダイナミックに切り替える。
回転数が上がり、エンジン音も大きくなる。ドライブモードに入れていた場合は自動的に高回転まで引っ張る『スポーツモード』に切り替わる。
これをマニュアルモードに切り替え、低回転から強く加速してみる。
相変わらず快速で気持ちいい。変速スピードもマイナーチェンジ前のS3よりも明らかに速くなり、シフトダウン時のブリッピングもマフラーからのボロボロボロという音も全てがレーシーだ。
力強い加速を必要とするステージではこの上なく頼りになる車だ。
総評
兄弟車にワーゲンのゴルフRがある。
もうほとんどバッジ違いのモデルといってもいい感じだが、キャラクターが違う。
ゴルフR の方がレーシーなのだ。
例えば、S3は全開加速時も窓を閉め切っていればかなり静か。静かに速い。
大してゴルフRは窓を閉め切っていても相当エンジン音が車内に入ってくる。
それなので、ゴルフRの方がスポーツカー感が強い。
それに、、、後席も広い。
走り重視ならゴルフRで、静かに走ることも重要視しつつ速さも必要ならS3だ。
ただし、後ろに人を乗せることが多ければゴルフRである。
どちらも大差はない。大差はないが、強いて言うならば、ゴルフRが上品になったのがアウディのS3なのだ。