0-100km/h、2.8秒。
レースは競争であり、これはまさに戦いでもある。
やはり戦いの中で生まれたものはカッコいい。ドラクエに出てくるような剣や盾は勿論、戦車や戦闘機や城であったり。
このバイクもドゥカティのレースの、戦いの血を見事に注ぎ込まれたバイクだ。(血ではなくてオイルか?)当然見た目だけでなく中身も本物だ。
フェラーリしかり、イタリアのスポーツカーやスポーツバイクは赤がよく似合う。
国別対抗時のカラーの名残だというが、やはりこんなに赤が似合うバイクもそうはあるまい。端正な佇まいは飾っておくだけでも美しい。
DUCATI 959パニガーレ
エンジン形式
スーパークアドロ L型2気筒 4バルブ デスモドロミック 水冷
排気量955 cc
最高出力110 kW (150 ps) @ 10.500 rpm
最大トルク102 Nm (10.4 kgm) @ 9.000 rpm
燃料噴射三菱電機製電子制御燃料噴射
フロントタイヤ:ピレリ製ディアブロ・ロッソ・コルサ 120/70 ZR17
リアタイヤ:ピレリ製ディアブロ・ロッソ・コルサ 180/60 ZR17
リアサスペンション
ザックス製フルアジャスタブルモノショック
乾燥重量176 kg
車両重量200 kg(燃料と油脂類すべてを含む)
シート高830mm
ホイールベース1,431 mm
キャスター角24°
トレール96mm
燃料タンク容量:17リットル
207万5000円
デザインはかっこよく大好きだ。ハンドルの高さとシートの高さがほとんど同じで、距離もあるように見える。手足の長いイタリア人には良いのかもしれないが、日本人にはなかなかきつそうなポジションになりそうだ。
また、日本車は全般にスポーツカーでも”常に”日常使用を念頭に置いた車作りがされている。それに対してイタリア製の”スポーツ仕様”はかなりガチだ。
それゆえ、日常ではキツ過ぎるポジションも、サーキットで走りこむとビシッと決まるように設定されているようだ。
ただしベースのポテンシャルは高いとはいえ、だいぶ装備が簡略化されているのは気になるところ。本体価格が200万円を超えるのに、お得意の片持ちスイングアームではないし、ヘッドライトもハロゲンだ。このバイクはシフトアップだけオートシフターが使え、ダウンは手動だ。メーターもカラー液晶ではなくシンプルな単色液晶だ。
跳ね上がったリアとテールライトがカッコいい。
メーターはドゥカティの廉価版に採用される単色カラーのもの。
ハンドル位置は遠く低め。
シルエットはキレイ。
街乗り
さてエンジンをかけてみる。
ハイパワー系リッターバイク全般によく思うが、純正マフラーでも『よくこれで車検が通ったな』と思うような音量。購入前はこれで十分だ、と思うのだけれど、実際慣れてくると物足りなくなって、さらなる大音量を求めてしまうもの。慣れってすごい。
走行モードは3種類。ウェット、スポーツ、レースだ。ツーリングという走行モードがないのがこのバイクの性格を物語っている。
ウェットモードで街中へ繰り出す。
最初に思ったのは『ハンドル低ッ!!!』
実際は低いだけではなく遠いのだが、何よりも今まで乗っていたS1000RRなんかと比べて明らかに低い。両手でハンドルを握っていると視界が強制的に下向きになるような遠さ&低さを感じる。シートも薄く硬い。
自分の経験上、このくらい前傾がきついとワインディングや高速道路は疲れないが街乗りが長時間続くとぶっ倒れるくらい疲れると思う。
この姿勢のバイクは信号待ちでハンドルから手を放して上体を起こす必要があるが、発進時はまた遠くのハンドルに手を伸ばす。
文章化するとなんてことがないこの動作の繰り返しが、着実に体の疲労を加速させる。
俺は信号の多い街乗り20kmよりも、止まらず走り続けられる高速200kmの方がこのSS系は楽だと思う。
ただし、ウェットモードにしている限りパワーがありすぎて発進時に気を使いすぎるようなこともなし。エンジンパワーは制御しやすい。姿勢がキツイ。
加速チェック
レースモードに入れ安全な道で加速チェックをする。
このクラスのバイクなんて基本的に2速で全開なんて、一般道では不可能なほどの加速力だ。それなので現実的な範囲内で。
前後左右の安全をチェックし、最高出力&トルクが発生される10000回転近くまで2速で回してみる。
『バルルルルルル!!!!!』
そしてシフトアップして3速へ、、、。
まぁ,なんとも荒々しいサウンド。
加速自体はギュッと安定して伸びていく感じ感じだが、乾いたガラガラいうエンジンの吠えっぷりが凄い。
海外のサイトで959パニガーレの0-100km/h加速は2.8秒というデータが発表されている。
まぁそのくらいはあるだろうなって思う加速力だ。
しかし、サウンドと加速力はとてつもないが加速時の車体は安定しているので、全開加速はディアベル1260の方がよっぽど怖い。
やはりこうした加速時や速度域で本領を発揮するような仕様であることは、間違いなさそうだ。
総評
何よりもスタイルとこのL型2気筒エンジンの音が良い。
そしてパワーはすごいが、力が有りすぎて回せないというほどでもない。上手な人だったら結構上まで回して使っていける。
ほど良いパワー、、、よりは多少上だが、パワーというのは慣れるので150馬力にはそんなに驚かなくてよい。
それよりも街乗りメインやツーリングで使う人にはハンドルが遠くて低くて、これが何より辛い。
SSはみんな辛い、というわけではない。BMWのS1000RRはココまで前傾はきつくないのでツーリングは全く問題ない。しかし、それと比べても明らかに前傾がキツイので、ツーリング用に購入する場合は”いくらかの”ライダーの愛情と寛容さが求められる。
エンジン熱の熱さも言うまでもない。
959パニガーレ、サーキットやワインディングでは最高に頼りになるだろう。