買う価値なし。
俺は車名に”スポーツ”という名前が付いていると条件反射的に手に取ってしまう、そんな末期状態である。自動車とは移動するための道具ではあるが、やはり趣味として運転する楽しみもある。近年の車はそこがとにかく薄口醤油を通り過ぎて、水のように無味になってしまっているので、スポーツというと『特濃』という表記と同じくらい期待してしまうのだ。
今回スポーツという名前を持ったカローラというクルマに乗った。トヨタの有名なシリーズらしいが、国産車には基本ほとんど興味がないのでよくわからない。例によって、先入観も予備知識も一切無しの状態で乗り込む。
トヨタ・カローラ スポーツG"Z"
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4375×1790×1460mm
ホイールベース:2640mm
車重:1330kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:116ps(85kW)/5200-5600rpm
最大トルク:185Nm(18.9kgm)/1500-4000rpm
タイヤ:(前)225/40R18 88W/(後)225/40R18 88W
燃費:15.4km/リッター(JC08モード)/15.8km/リッター(WLTCモード)
価格:238万6800円
前からの見た目は悪くない。カッコよくは無いが特別ダサくも無い。後ろからの見た目は普通。普通にかっこ悪い。スペックを見てみると1330kgの軽いコンパクトな車体に116馬力のエンジンを積むスポーツモデル。
今回の試乗車はCVT。MTのモデルも選べるらしいが目の前にある車はCVTだ。
パワーは無いが、スペック的にはブンブン回して楽しめそうで、数値的な期待は持てる!
車内はレクサスのRCFと同じ感じ。質感等もほぼ同じ。
安定感のあるセンスの無さで、この朱色っぽい赤の選択や配色のセンスといい、見ていて悲しくなってくる。
全体的にとても安っぽい。
スピードメーターはエコモード(コンフォートモード?)で走ると水色で、スポーツモードになると赤色になる。
さてエンジンをかけて見る。
普通だ。スポーツカー的な、例えばロードスターのような排気音の演出等は感じられない。静か。
街中を走り出すとやっぱり静か。ただの乗り味のゴツゴツするコンパクトカーみたいだ。
当然1200ccの116馬力。そんな驚愕の加速をするわけでもないので、法定速度での街中走行は全然問題ない。ブレーキも普通。
ある程度運転した後にスポーツモードに変える。メーターが赤くなる。エンジンの馬力やサスの設定等は変わらないのだろうか?担当営業氏に聞くと
『馬力ってなんですか?』
という。話にならない。
パドルシフトがあるので、それを使ってスピードメーター上の2速にして全開加速をしてみる。
ぶぅぅぅぁぁあああああぁぁぁああ~~~!!!!!
相変わらず、すごい音だww
エンジン音とCVTの雄叫び。
高回転でパドルを操作しても回転数が変わらない!
何のためについてるんだコレw
パドルシフトがついたスポーツ風の乗り味なのか??
車内はCVTと1200ccエンジンの叫び声で騒々しいが、クルマは信じられないくらい遅い。そしてエンジン音が汚い。
ホームセンターで売ってる一番安い掃除機の方がいい音がするだろう。
道の悪いところを通ると跳ねる跳ねる!!
こんなに遅くて、こんなにスポーツ出来ないのに、どんなハードなスポーツカーよりも跳ねる。車内の揺れがすごすぎて、フロントガラスに投影されるスピードメーターのネジが吹っ飛んだようだ。
その後、フロントガラスに映っているスピードの表示が上下に激しく揺れて酔った。
そして車内は外れた部品があちこちに当たってガチャガチャと音を立てる。
なんという騒々しいクルマw
ここでまとめるとしよう。
このクルマはパワーが無いため運転していて面白くなく、見た目も音も良くない。サスもしょぼい。インテリアの赤のデザインも控えめに言って最悪だ。ただし、乗り出しは350万円~ほどだという。
どこか一つくらい褒めるところを探したい。
あ!
エアコンで冷たい風が出た。
エアコンが効けばどんな車でも良いという人にはこのクルマはあっているのかもしれない。