M4との楽しさの差は明らか。
BMWのショールーム内で展示車を眺めると『ほとんど全部』の車にMのバッジが付いている。俺はこのやり方が嫌いだ。MのバッジはM社が手がけたスペシャルモデルの称号であるべきで、M風、Mっぽい車に簡単に授けてはいけない。本物のMモデルの価値まで下がる。
毎日特売を喧伝しているスーパーが本当に特売をやっていても人は集まらないだろう。
以前M2コンペティションに乗った際、本気でこれは素晴らしい車だと思った。
とにかくエンジンが良い。またエンジンの良さを際立てるマシンのセッティングでもあった。久しぶりにスーパーカー以外でのエンジンサウンドで感動したし、乗っていて終始笑顔でいられた。
しかし、気になっていたことがある。
中古車相場で年式の新しい古いもあるが、M2クーペとM2コンペティションの価格差は結構ある。乗った結果大して変わらないのであれば、M2クーペの方が安く購入できて良いではないか、と思うのだ。
という訳でM2コンペティションなのか、M2クーペなのかを見極めるいい機会を頂いた。
BMW M2クーペ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4475×1855×1410mm
ホイールベース:2695mm
車重:1560kg
駆動方式:FR
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:370ps(272kW)/6500rpm
最大トルク:465Nm(47.4kgm)/1400-5560rpm
タイヤ:(前)245/35ZR19 /(後)265/35ZR19
M2クーペとM2コンペティションの最大の差は言うまでもなくエンジンにある。
M3やM4に搭載される本物のMエンジンが載るか、否かだ。
しかし、M2クーペだって370psもある。力不足な数値ではない。
直6だし音だってそこまで悪くないはず。
まずは車内から見てみる。
非常にシンプル。走りの部分にお金をかけたので内装はこれで勘弁してくれ、という感じがするw全体的に安っぽい。しかしスポーツカーはそれでいいのだ。
入門モデルでは金属製のドアノブが、上位モデルになるとナイロンのような素材になることは良くある。
エアコンも大画面のナビもシートもハンドルも付いている。
コレだけ付いていて不満がある人はまずいないだろう。
ブレーキキャリパーは小さいが日常的な使用では当然、制動力に不満はない。
後部席。
センターに邪魔臭いプラスチックのトレイが付く。ここに座ったら割れそう。
狭いが乗れないことはなさそうな足元。
さて動かしてみよう。
試乗車はDCT。Mエンジンではないがエンジンをかけるとバフォーンと元気な音がする。
コンフォートモードで動かしてみる。
窓を閉め切ればとても静かで、サスもソフト。全くもって普通の快適な車だ。この辺はコンペティションでも同じである。
どこまででも走っていける。(基本どんな車でも走っていけるが)
BMWのラグジュアリーな車作りは慣れたもので、Mを冠するモデルでもホントに快適だ。
道が開けたので今度はスポーツモード+パドル操作で動かしてみる。
『クワァァーン!ばふばふ。クワァァーン!ばふばふ!』
レスポンスがよく吹け上がりも素晴らしい。またDCTの変速レスポンスも良く、パドルをひいた瞬間に即座に変速し大変気持ちいい。
ブレーキも充分効くし、ハンドリングも遊びがなくクイック。
これすごくいいよ!
本当に良い。
ちょっとしたワインディングなんかでも結構踏んでいけるパワーなので、運転していて楽しい。
スポーツにするとバルブが開いて音も大きくなる。
シフトチェンジする度にボロボロと賑やかな音がなる。
が!!
例えると、M2クーペはノーマルマフラーのフェラーリだ。
こもっているし、音が外に出てこない。中でモゴモゴ言ってる感じだ。
対してM2コンペティションは触媒レスのストレート管のような抜けのよさがある。
難しいが擬音語で無理やり現してみよう。
M2クーペの全開加速2速→3速→4速
『ジュイーン、ボロロン、ジュゥゥイーン、ボロロン…』
M2コンペティションの全開加速2速→3速→4速
『カァァァァーン!ガイン!カアァァァァーン!ガイン…』
まとめるとM2クーペでも街中やワインディングで使うのに力不足ということはない。高速道路でも充分。ぶっちゃけ乗り味や加減速はクーペもコンペティションも大して変わらん。
ただし、その乗り味に官能的な直6サウンドのサウンドシャワーが欲しければコンペティションにするべきだ。俺はフェラーリなどと2台所有ならM2クーペにするが、一台だけなら官能的サウンドとセットでM2コンペティションにする。
どちらにせよ、M2は大変素晴らしい車だ。
うむ。本当に素晴らしい。